Konstantin Grcic
コンスタンチン・グルチッチ(1965 - )は、ドーセットにあるJohn Makepeace School で家具職人としての修行を積んだ後、ロンドンのRoyal College of Artに入学しました。 1991年、自身の事務所をミュンヘンに設立し、現在に至るまで、プロダクト、家具、照明など多岐にわたるデザインと開発を手掛けています。コンスタンチン・グルチッチは、人間を中心とした考えを機能に落とし込み、無駄を省いたシンプルなフォルムの中に、強い想いとユーモアのあるデザインが特徴です。彼のプロダクトはいずれもデザインと建築の歴史への研究心と、技術と素材に対する情熱により生み出されています。シンプルなデザインで知られるコンスタンチン・グルチッチですが、ミニマリストではなく、シンプルさの中にこそデザイナーとしての熱い想いがこもるものだと自身は語っています。 コンスタンチン・グルチッチによるプロダクトの多くは、国際的なデザインの賞を受賞し、彼の作品はニューヨークのMoMAやパリのCentre Pompidouなどの美術館に所蔵されています。
フィンランド産バーチ材
アルテック製品は手作業による一点物ではなく、工場で製造される量産品です。とはいえ、製品の本質、そして何より素材は完全に機械によってオートメーション化された製造工程とは対極にあります。アルテック製品は創業以来、一貫して厳しい品質基準の下、半機械化によって作られています。つまり機械を用いながらも、多くの工程は人の手によるクラフトマンシップを経て生まれるのです。したがって私たちは、それぞれの製品を完全に均質なものにすることが可能だとも、またそれが必要だとも考えてはいません。素材あるいは製造工程で生じるわずかな違いは欠点ではなく、むしろおのずと生まれたアルテック製品の個性であると捉えています。
フィンランド産のバーチ材の強さと美しさは、多種多様な樹木の混合林で育つためと言われています。より多くの日光を浴びるために、枝は少なく、幹は強く、高く、真っすぐに育ちます。その後ゆっくりと生育し、滑らかで均質な繊維の木材として成熟します。
アルテックの家具に使われるバーチ材には、およそ50から80年の樹齢の最高品質の木が選ばれます。木の成長の中で適正な時期を選び、害虫の影響が少ない冬に伐採された後は、乾燥の過程へと進みます。
伐採された木材は、屋外の雨や雪にさらされない場所に保管され、最大12カ月もの間、ゆっくりと乾燥されていきます。「ブロンド バーチ」という愛称でも呼ばれる、フィンランド産バーチ材特有の明るい色は、自然乾燥させることにより保たれ定着します。
木材は最終的に熟練した職人の目により選別されます。節や変色のない滑らかなバーチ材は、スツールの座面などの表面に使われ、傷のあるバーチ材は、座面の中材やラッカー仕上げを施す部品として使われます。
Wood bending techniques
フィンランドの自然素材を用いた曲げ木の技術
無垢材の先端から曲げる部分まで切れ目を数ミリ間隔で入れ、その間に薄いベニヤ板を挟み接着した後、熱を加えながら曲げるという製法です。シンプルな工程でありながら、厚い無垢材を曲げることができ、さらに頑丈で安定した仕上がりになります。